史上最大の未完プロジェクト|数億円を溶かしたバベッジに学ぶ「炎上回避」の鉄則

経済・ビジネス

ITの歴史に燦然と輝く、しかし「未完」で終わった伝説があります。19世紀の数学者、チャールズ・バベッジが挑んだ計算機の開発です。
現代の価値で数十億円という国家予算を使いながら、なぜ成果物は生まれなかったのか?

それは、現代のDX現場で日々繰り返されている「仕様変更」と「握り不足」のデジャブそのものでした。


1. 終わらない「仕様変更」が、ゴールを消し去った

バベッジは、開発の真っ最中に「もっと良いアーキテクチャ」を思いつき、その都度、前の設計を捨ててしまいました。
現代風に言えば、「β版のリリース前に最新の生成AIを組み込もうとして、開発をゼロリセットする」暴挙です。

  • 教訓: 「完璧な設計」は、リリースされない限り「ただの妄想」でしかない。

2. 「技術力」はあった。だが「政治力」がゼロだった

プロジェクトの息の根を止めたのは、エンジニアとの大喧嘩でした。
バベッジは「自分の設計は完璧だ。お前は指示通りに作ればいい」というスタンスを崩さず、現場の信頼を失いました。

  • 教訓: 優れたコードを隠すのは「傲慢な態度」。プロジェクトを動かすのはロジックではなく「納得感」である。

3. スポンサー(国家)への期待値調整ミス

バベッジは政府に対し「未完成の理由」を難解な数式で説明しようとしました。スポンサーが知りたかったのは数式ではなく「いつ、海軍の船が安全になるのか」というROI(投資対効果)です。

  • 教訓: 専門用語で煙に巻くのは、不信感への特急券。共通言語(数字とベネフィット)で語らなければ予算は切れる。

まとめ:あなたの現場に「バベッジ」はいないか?

バベッジの挫折は、現代の私たちが守るべき「完遂」の教科書です。

  1. 仕様変更を殺せ: 変更要求には「次フェーズで」と答える勇気を持つ。
  2. 現場をリスペクトせよ: エンジニアが納得しない設計図は、ただの紙屑。
  3. 動くものを見せろ: 100点の設計図より、10点のプロトタイプが信頼を生む。

「未完の天才」という称号は、ビジネスの世界では敗北を意味します。バベッジの屍を越えて、私たちは「完遂」という勝利を掴み取りましょう。

配信元

番組名:ゆるコンピュータ科学ラジオ
タイトル:機械式コンピュータの挫折。その原因は、凡庸な人間ドラマだった。【バベッジ2】#125
配信日:2024-05-19

タイトルとURLをコピーしました