【全員がプロンプトの達人】になる必要はない。モデルナと東京都に学ぶ、AIを組織の「脊髄」に組み込む技術

AI・テクノロジー

ChatGPTを自分なりに使ってはいるけれど、効率化している実感がイマイチ持てない……。他の人や企業は一体どう活用しているのか、正直すごく気になりませんか?

本記事では、製薬大手のモデルナや金融のモルガン・スタンレーといった海外企業の野心的な戦略から、東京都が公開した超具体的なプロンプト活用集まで、国内外の最前線を一挙に紹介します。「AIに何を聞くか」で悩むステージを卒業し、AIを日常業務のワークフロー、いわば組織の「脊髄」として機能させるための具体的な知見をお届けします。


1. 海外企業の最前線:モデルナとモルガン・スタンレーの「全社レバレッジ」戦略

ChatGPTの開発元、OpenAIの公式サイトでも一際目を引くのが、製薬大手モデルナの事例です。

「AI教師」がAIを教える組織

モデルナは「6ヶ月以内に生成AIを100%導入する」という目標を掲げ、驚くべき仕組みを構築しました。それは、AIの使い方を学ぶために「AI教師」となるアシスタントを構築し、AIからAIを学ぶ環境を作ったことです。

ここで注目すべきは、彼らの「人」に対する戦略です。
「別にですね、社員全員がプロンプトのマスターになる必要っていうのはないんですね。AIに明るい人材を特定して、さらに伸ばして、そして出来上がったツールを社内に水平展開していく。これだけで会社全体のAIスキルが飛躍的に向上します。」

全員に教育コストをかけるのではなく、尖った100人のパワーユーザーが生み出した成果を全社でシェアする。この「選抜と水平展開」の判断は、日本の経営層も即座に真似すべき合理的な戦略です。

ナレッジの検索エンジン化

一方、モルガン・スタンレーは、数十万ページに及ぶ膨大な投資戦略データをAIに学習させました。社員が山のようなPDFに目を通さなくても、AIに質問するだけで専門的な洞察を即座に引き出せる。もはやAIは単なるチャットツールではなく、社内の知恵を繋ぐ「基盤システム」へと進化しています。

ここがポイント👌
先進的な企業は、AIを個人の道具としてだけでなく、専門スキルの水平展開や社内ナレッジの検索エンジンとして、組織の「OS」レベルで活用しています。


2. メール業務の劇的改善:下書きがある状態で目覚める「快感」

全会社員にとって最大の負担である「メール対応」。ここにAIをどう組み込むか、その理想形をメールツール開発のスーパーヒューマンが示しています。

「すべてのメールのスレッドに、一行の要約と返信の下書きがある状態で目覚めることを想像してみてください。あとは送信ボタンを押すだけで。」

想像してみてください、これって最高にワクワクしませんか? 朝一番のメールチェックという重荷を、AIが「とりあえずのたたき台」として肩代わりしてくれる。人間は内容を最終チェックして送信ボタンを押すだけ。

ここで重要なのは、機密情報を守るための「API活用」です。
通常のチャット画面でのやり取りは学習に利用されるリスクがありますが、API経由なら原則として学習されません。正直、ハルシネーション(嘘)のリスクはゼロではありませんが、「0から1を作る苦労」をAIが担い、「1から100への品質保証」を人間が担う。この明確な分業こそが、真の業務効率化への近道です。

ここがポイント👌
メールとAIの相性は抜群です。ただし、本格的な業務利用には、データが学習に利用されないAPI活用やエンタープライズ版の導入がセキュリティ上の「絶対条件」となります。


3. 東京都の実践例:行政の「ガチガチの現場」で動くプロンプト

日本国内では、東京都の取り組みが非常に具体的です。2024年1月に公開された「文章生成AI活用事例集」には、職員のアイデアが詰まったプロンプトが並んでいます。

  • 政策アイデアの創出: 海外事例を参考に、高齢者のデジタル支援策を提案させる。
  • 防災計画案の作成: AIに「防災担当者」という役割(ロール)を与え、具体的な計画案を練らせる。
  • 会議メモの成形: 録音データの文字起こしから、報告用文書を一気に作成する。

東京都が職員に行ったアンケートでは、約7割が「効率が向上した」と回答しました。一方で、残りの3割が「改善していない」と答えた原因は、「どの業務に使えばいいか分からない」という点にありました。

ここがポイント👌
東京都の事例は、役割設定(ロールプレイ)を活用することで、専門性の高い行政の現場でもAIが実戦的な相棒になれることを証明しました。


4. 「何に使えばいいか」を卒業する。個人のスキルに頼らない『AIのシステム化』

「AIに聞くよりも自分でやったほうが早い」。そう感じる人が一定数いるのは、ツールを与えられただけで、ワークフローが再設計されていないからです。この壁を突破する答えが、「システムへの組み込み」です。

「AIに聞くよりももう自分でメール書いちゃったほうが早いよっていう人も少なからず出てくると思うんですね。そういうケースであれば、もうシステムとしてAIを組み込んじゃいましょうよ。」

個々の社員が高度なプロンプトを駆使するのを待つのではなく、メールを開けば勝手に要約と下書きができている、といった「AIが裏側で自動で動く仕組み」を提供すること。

これこそが、スキルの個人差に関係なく組織全体のパフォーマンスを底上げする、2025年以降のAI導入の正解です。

ここがポイント👌
AI活用の成否は、個人のプロンプトスキルを競う段階から、日常のワークフローにAIを自動で組み込む「システム設計」の段階へとシフトしています。


まとめ

この記事をまとめると…

  • モデルナやモルガン・スタンレーは、パワーユーザーの成果を全社にレバレッジさせ、AIを社内ナレッジの共有基盤として活用しています。
  • メール業務では、AIによる「要約」と「下書き」を自動化し、人間は「チェックと承認」のみを行うフローへの転換が可能です。
  • 東京都の事例から、役割設定(ロールプレイ)を用いた具体的なプロンプト術が、専門業務においても有効であることがわかります。
  • 業務利用の際は、安全性を担保するためにAPI活用や上位プランの検討によるセキュリティ確保が不可欠です。
  • 「使い道がわからない」という課題を解決するには、AIを意識せずに使える「ワークフローへの自動組み込み(システム化)」が有効な解決策となります。

配信元情報

番組名:耳で学ぶAIロボシンク
タイトル:他の人がどのようにChatGPTを活用しているか気になりませんか?
配信日:2024-06-04

タイトルとURLをコピーしました