DeNA南場会長が突きつけた「AIオールイン」。これは一企業の話ではなく、日本の全産業が「OS(基盤)の書き換え」を迫られているという、強烈なサインです。
DeNAの組織変革から、トヨタが挑む未来都市「ウーブン・シティ」、さらにはあの軍艦島での歴史的な新築工事まで。今、日本のあちこちで起きている「テクノロジーが社会の基盤を書き換える」ような動きは、私たちの働き方や街のあり方をどう変えていくのか。最新の動向から、その正体を紐解いていきましょう。
1. DeNA南場会長の決断:全社員をAI人材に変える「DARS」の凄み
2025年2月、DeNAの南場智子会長が放った「DeNAはAIにオールインする」という宣言。これは単なるスローガンではありません。「既存事業を成長させつつ生産性を高め、浮いたリソースを新規事業に振り向ける」という、極めて合理的で攻めた成長戦略です。
その核心にあるのが、独自のスキル指標「DARS(DeNA AI Readiness Score)」です。驚くべきは、エンジニアだけでなく事務職を含めた全社員を対象にしている点。2025年末までに、全社で「レベル2」への到達を掲げています。
「レベル2というのは、単にチャットを使うだけではありません。AIの回答の嘘(ハルシネーション)を見抜き、自分の判断を加えられる状態。いわばAIを部下のように使いこなす能力を、全社員に求めているんです。」
ツールを入れるだけでなく、評価の仕組みまで変えてしまう。この徹底した「組織OSの書き換え」こそが、AI時代の生き残り戦略における希望に満ちた処方箋と言えるでしょう。
2. 「車を売る」から「都市OSを創る」へ。トヨタが挑む『Arene』連携の真価
次世代のインフラとして注目したいのが、トヨタ自動車が進める実験都市「ウーブン・シティ」です。ここで始まったのが、人とインフラ、車を連携させる「三位一体」の実証実験です。
鍵を握るのは、車両OS「Arene(アリーン)」と都市ソフト基盤の融合。街中のカメラデータなどから「今、どこで何が起きているか」を解析し、それを車の動きや安全機能に直結させます。
「車単体の進化ではなく、都市という巨大なOSの中に、車を一つのデバイスとして組み込んでいくような発想ですね。」
正直なところ、自分の移動データが都市に握られることに抵抗を感じる人もいるはずです。トヨタがソフトの内製化にこだわるのは、利便性とプライバシーという、最も難しいバランスを自分たちでコントロールしたいという強い意志の表れでもあります。2025年度に登場する新型RAV4からの Arene 搭載は、まさにその第一歩となります。
3. 軍艦島で55年ぶりの新築工事。デジタルツインが繋ぐ「命の砦」
最後は、長崎県の軍艦島(端島)からの驚きのニュースです。なんと、島内で約55年ぶりとなる新築工事が始まりました。半世紀以上、時が止まっていた場所に、新しい息吹が吹き込まれる。これ、ワクワクしませんか?
もちろん観光施設ではありません。目的は、過酷な環境下で保存・調査活動を行う隊員たちのための「研究拠点」です。
「この研究拠点が完成すれば、島内では約55年ぶりの新しい建物となります。」
これまでの調査隊は、トイレすら満足にない中、嵐が来れば即撤退という命がけの状況でした。今回のプロジェクトでは、清水建設の技術と「デジタルツイン」をフル活用します。崩落が進む島をデジタル空間に再現し、未来に残すべき情報を収集するための、まさに「命を守る砦」を建てる工事なのです。
まとめ
今回の3つのニュースを繋ぐキーワードは、テクノロジーによる「OS(基盤)の書き換え」です。
- DeNAの「DARS」: AI活用を個人の趣味にせず、評価指標として組織の「仕組み」に組み込んだ。
- トヨタの「三位一体」: 車を単なる移動手段から、都市OSと連動する「街の一部」へと再定義した。
- 軍艦島の新築拠点: デジタルツインという最新技術を、世界遺産という「守るべき過去」を未来へ繋ぐ盾として投入した。
2025年、私たちは「AIを使う」段階から、AIやデータを前提とした「新しい社会OSの上で生きる」段階へと、静かな、しかし確実な革命の真っ只中にいます。
配信元情報
番組名:テクノロジーFLASH
タイトル:2025-11-30_12_1週: 南場会長の大号令で全社員がAI人材化するDeNA/トヨタ、ウーブン・シティで「三位一体」実証/世界遺産・軍艦島で55年ぶりの”新築工事”
配信日:2025-12-01


