【御用聞き】で終われば、会社は沈む。NEC・富士通ら大手SIerが捨てた“成功体験”と、GPUが引き起こす「熱の反乱」

AI・テクノロジー

日本の産業界が直面する「踊り場」。それは、従来のビジネスモデルや物理的な冷却能力がもはや限界に達したことを意味します。

大手SIerの切実な戦略転換から、3兆円市場へ化ける液冷技術、そして「現場監督が現場に行かない」建設DXの衝撃まで。物理法則と闘いながら、日本の基盤を根底から書き換えるテクノロジーの最前線を追います。


1. 「御用聞き」からの決別:大手SIer4社が挑む『コンサルシフト』の正体

NEC、富士通、NTTデータ、日立製作所。日本のITを支えてきたこれら4社が、今一斉に舵を切っているのが「コンサルティング事業への転換」です。

背景にあるのは、従来の「SI(システム構築)型モデル」の行き詰まり。ユーザーに寄り添うだけの「御用聞き」では、もはや付加価値を生み出せなくなりました。付加価値の源泉が「構築」から「戦略」へ完全に移ったのです。

これは現場のエンジニアにとっても死活問題です。コードを書くだけ、指示通り作るだけのスキルは、AIとコンサルシフトの波に確実に飲み込まれます。今求められているのは、単なる実装力ではなく、「技術で何を解決するか」を経営層に提案する力なのです。

2. ITは「物理」の戦いへ。GPUの熱暴走を防ぐ「液冷」3.3兆円の必然

生成AIの爆発的な普及は、意外なところで物理的な限界を突きつけています。それはデータセンターの「冷却」です。

NVIDIAの最新GPUなど、AI演算を担うサーバーは桁違いの熱を発します。1ラックあたりの消費電力が120kWを超えるケースもあり、これは小さな町一つ分の電力を狭い空間で消費し、熱に変えているようなものです。従来のファンで風を送る「空冷」では、もはや物理法則の壁を越えられません。

「冷却能力が不足すればサーバーは熱暴走し、最悪の場合は樹脂部品が発火して火災になりかねない。」

この恐怖とも言える熱問題を解決するのが、水や油で直接冷やす「液冷技術」です。2034年には3.3兆円規模にまで成長すると予測されるこの市場は、AIという知能を支えるための「必須の心臓部」になろうとしています。

3. 現場監督が「現場に行かない」新常識。鹿島・大林組が描く3D革命

深刻な人手不足に悩む建設業界でも、パラダイムシフトが起きています。キーワードは「現場の3D化と遠隔管理」です。

鹿島はLiDAR(ライダー)を活用し、現場をリアルタイムで3Dモデル化。離れた事務所からでも、正確な進捗を把握できるシステムを構築しました。一方、大林組は自動ドローンを活用し、測量からデータ作成までを完全に無人化。

正直なところ、機材コストやスタッフの教育など、初期のハードルは決して低くありません。しかし、「人が現場に行かないことで浮く移動コストと安全価値」が、それらを遥かに上回るフェーズに来ています。

「現場に人が立ち会うことなく管理する」。この働き方の変革こそが、国土交通省が掲げる「i-Construction 2.0」が目指す、建設業界の新しいOS(基盤)です。


まとめ

この記事をまとめると…

  • 国内SIer大手4社は、従来の「構築請負」から、DXの最上流を担う「戦略コンサル」へ事業モデルを抜本的に転換させている。
  • 生成AI用GPUの圧倒的な発熱に対し、従来の空冷は限界。発火リスクを回避しAIを安定稼働させる「液冷技術」が3.3兆円市場へと急成長している。
  • 建設現場ではライダーやドローンを用いた3Dモデル化が進み、「現場監督が現場に行かない」遠隔管理が実用化フェーズに入った。
  • IT・インフラ・建設の各業界で、物理的・構造的限界をテクノロジーで突破する「OSの書き換え」が同時多発的に起きている。

配信元情報

番組名:テクノロジーFLASH 
タイトル:NEC・富士通・NTTデータ・日立が挑むコンサルへの転換、「御用聞き」はもうしない/GPUの「液冷」必須に/建設現場3D化で遠隔管理
配信日:2025-09-22

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