「引っ越したばかりなのに、ネットが遅すぎて仕事にならない……」
新しい部屋での生活に胸を躍らせ、デスクを整え、いざ業務を開始した瞬間に突きつけられる「通信速度の絶望」。動画会議はカクつき、データのアップロードには永遠のような時間がかかる。実はその絶望、あなたのルーターの性能不足のせいではなく、物件選びの段階で「詰んでいた」のかもしれません。
「レインズに井戸っていう項目あるからな。井戸がついてる物件だけ絞り込み検索できるの。いるかその機能? いらないね。なのになに? 光コンセントの位置とか高速回線引き込み可能とか、そういうの全く絞り込み検索できないんすよ」
ゆるコンピュータ科学ラジオで堀本氏がぶちまけたこの義憤は、現代の全リモートワーカーの声を代弁しています。今回は、不動産業界がひた隠す(あるいは単に無関心な)インフラの不都合な真実から、Wi-Fiの物理的な限界、そしてITリテラシーを分かつ「再起動」の定義まで、あなたの生活を支える回線環境を死守するための防衛策を紐解きます。
今回の配信内容🎧
- 不動産情報サイト「レインズ」への義憤。なぜ「井戸」があって「光」がないのか?
- 光コンセントがキッチンにある悲劇。Wi-Fiの速度を阻む「物理の壁」の正体。
- 物理的な線は裏切らない!有線接続の圧倒的優位性と、最新規格「Wi-Fi 7」への淡い期待。
- 「再起動」を巡る悲喜劇。ITリテラシーを分かつ「とりあえず試す」精神の重要性。
不動産検索への義憤:なぜ「井戸」があって「光コンセント」がないのか
堀本氏が今、猛烈に怒っていることがあります。それは、不動産業者が物件を検索する際に使う共有サイト「レインズ」の仕様についてです。驚くべきことに、この令和の時代において、レインズには「井戸の有無」で物件を絞り込む機能が存在します。しかし、私たち現代ワーカーにとって命の次に重要な「光コンセントの場所」や「VDSL方式か光配線方式か」といった項目で検索することは不可能なのです。
「意味わからんの。井戸がついてる物件だけ絞り込み検索できるの。いるかその機能? いらないね」
現代において、光コンセントがどこにあるかは「バス・トイレ別」や「南向き」と同じくらい、あるいはそれ以上に人生のQOL(生活の質)を左右する死活問題です。しかし、現状の間取り図にはその位置が記載されていないことがほとんど。私たちは内見に行って初めて、四つん這いになって壁際を探し、ようやく「あ、こんなところに光コンセントがあった」と一喜一憂するしかないのです。このITインフラに対する認識の低さが、物件選びにおける「巨大な運ゲー」を生み出しています。
ここで重要なのは、壁にあるのが単なる「LANの差し込み口」ではなく、外から光ファイバーが直通している「光コンセント」かどうかを確認することです。この小さな白い箱がデスクの近くにあるかどうか。その一点だけで、あなたのリモートワーク環境の勝敗は決まります。
無線接続の限界:キッチンに光コンセントがある悲劇
一方で、部屋の広さやおしゃれな内装という条件だけで物件を選んでしまった水野氏は、今まさに「ネット回線の罠」にハマっています。彼の新居では、光コンセントがなぜか「キッチン」に配置されていました。その結果、キッチンから最も遠い作業部屋や寝室では、Wi-Fiが極端に遅くなってしまったのです。
「寝室でTwitterとか見ようと思っても、Wi-Fiが繋がらずに4Gになっちゃってて」
これに対し、自身のデスクの真横に光コンセントを引き込んでいる堀本氏は冷徹に告げます。「手遅れです。ステージ5、引っ越してください」と。Wi-Fiという無線技術は、私たちが想像している以上に「物理」に支配されています。距離が離れれば電波は減衰し、壁を一枚隔てるごとに速度は如実に落ちる。特に水が詰まった人間が通ったり、キッチン周辺の家電があったりすれば、電波にとってそこは巨大な障害物競走の会場と化します。
正直なところ、中継機やメッシュWi-Fiで無理やり電波を飛ばす延命処置もありますが、それはあくまで補助的な手段。元々の光コンセントの位置が悪ければ、根本的な解決にはなりません。内見時に「ここにデスクを置くから、ここからケーブルを最短で引けるか?」をシミュレーションすること。これが、ステージ5の絶望を回避する唯一の正解なのです。
物理的な線は裏切らない:有線接続のススメとWi-Fi 7の希望
水野氏からの「無線より有線のほうが早いのか?」という、ITギークからすれば信じられないような初歩的な問いに対し、堀本氏は食い気味に断言します。
「早いです。僕がいる世界線だと圧倒的に有線ですね。200ギガバイト転送しなきゃいけないから、もう回線が遅いとストレスで死ぬんすよ」
大容量の動画データを扱ったり、一瞬の遅延が命取りになるオンラインゲームをしたりするなら、有線接続こそが絶対正義です。最新規格である「Wi-Fi 7」が登場し、有線に負けないスピードが出るとテック系メディアでは騒がれていますが、現時点では「規格の普及を待つより、1,000円のLANケーブルを買う」ほうが、投資対効果は圧倒的に高いのが現実です。
「Wi-Fi 7製品は結構有線に負けないくらいスピード出るらしい」という希望の光はありますが、受信側のスマホやPCが対応していなければ宝の持ち腐れ。結局、最強のソリューションは「長いLANケーブルを壁沿いに這わせて物理的に繋ぐ」ことなのです。Surfaceのような薄型PCでも、アダプターを使えば爆速の環境が手に入ります。物理的な線は、障害物にも距離にも、そして近所の電波干渉にも裏切られることはありません。
「再起動」を巡る悲喜劇:ITリテラシーを分かつ「探究心」
番組後半で語られた水野氏の「ルーター返却事件」は、技術に強い人と弱い人を分かつ決定的な差を浮き彫りにしました。ネットが繋がらず、サポートから「再起動してください」と指示された水野氏。しかし、彼が行ったのは「コンセントの抜き差し」でした。彼にとって、再起動とは電源を一度落とすことと同義だったのです。
しかし、IT機器における真の再起動(あるいはリセット)は、「爪楊枝のような細いもので小さなボタンをグイーっと長押しする」こと。電話を切った後にその事実に気づき、ネットが繋がったものの、サポートが気を利かせて送ってくれた新品の代替機を、水野氏は「僕が触ったら価値が落ちちゃう」と申し訳なく思い、一度も試さずに返却してしまいました。
「電話口の人は治ってないだろうなと思って(代替機を)送ってくれたんですよ。その行為が申し訳ないと思ったので、開封して僕が触ったりすると価値落ちちゃうかなと思ってそのまま返しました」
この「壊したら申し訳ない」「仕様通りに動かないのは自分が悪い」という慎重すぎる姿勢こそが、デジタル時代の足を引っ張ります。実際のところ、IT機器のトラブル解決には、仕様を疑い、送られてきた機器を「とりあえず挿してみる」という、厚かましいほどの探究心が必要です。マニュアル通りにいかないからこそ面白い。その図太さが、最強のITスキルへと繋がっていくのです。
まとめ:あなたのQOLは「壁の白い箱」に支配されている
この記事をまとめると…
- 不動産情報サイト「レインズ」には「光コンセント」の情報がなく、物件選びは今も「運」に左右される不健全な状況にある。
- Wi-Fiは距離や障害物に極めて弱いため、間取り図の広さよりも「コンセントからの距離」が重要。
- 速度と安定性を追求するなら、長いLANケーブルを使った「有線接続」が、現在最も信頼できる解決策である。
- ITスキルの向上には、機器を「とりあえず試してみる」という、ある種図太い探究心が不可欠。

「光コンセントの位置で人生が決まる」。そんな大げさな、と思うかもしれません。しかし、毎日の快適さを左右し、仕事の生産性を直結させる回線環境は、現代において「水」や「電気」と並ぶ、あるいはそれ以上に切実なライフラインです。
次にあなたが内見に行くときは、おしゃれな壁紙やキッチンの広さに見惚れる前に、まず四つん這いになって壁際の光コンセントを探してください。あなたの人生の幸福度は、その小さな白い箱の場所に支配されているのですから。
配信元情報
番組名:ゆるコンピュータ科学ラジオ
タイトル:ネット回線を重視しない不動産業界にキレる。光コンセントを図面に入れてほしい。#109
配信日:2024-01-28
