「google.com」はただのあだ名。大泉洋(パケット)が目指す“真実の座標”とは? ネット界の電話帳「DNS」と、行き当たりばったりの駅員「ルーター」の正体

AI・テクノロジー

ブラウザの検索窓に「google.com」と打ち込み、エンターキーを叩く。あるいはスマートフォンの画面をタップして、お気に入りのサイトを開く。現代に生きる私たちにとって、それは呼吸をするのと同じくらい当たり前の日常です。しかし、その「一瞬」の裏側で、無数の「大泉洋(パケット)」が必死に座標を探して、地図なき旅を繰り広げていることをご存知でしょうか。

「本体一番目印になる座標って数字になるんだよっていうことを知っといて欲しくて」

ゆるコンピュータ科学ラジオで語られたこの一節には、インターネットという巨大なインフラを動かす「美しき不条理」が詰まっています。私たちが普段使っているURLは、実はコンピュータにとっては単なる「あだ名」に過ぎません。本物の目的地は、もっと泥臭い数字の羅列なのです。

本記事では、人気番組『水曜どうでしょう』のサイコロの旅に例えて、ネットワーク通信の裏側を徹底解説します。URLがなぜ座標に変換されるのか、ルーターがどうやって行き当たりばったりの道案内をしているのか。ネット通信のドラマを知れば、いつものアクセスが少しエモく、そして愛おしく感じられるはずです。

今回の配信内容🎧

  • 通信の目的地は「店名」ではなく、数字の羅列である「座標(IPアドレス)」。
  • 座標だけでGoogleに飛べる?人間がいかに「あだ名」に頼っているかを証明する禁断の実験。
  • 店名を座標に変換してくれる、ネット界の闇の案内人「DNS」の暗躍。
  • ルーターは「一歩先」だけを教える駅のスタッフ。地図なき旅の自律分散的な美学。
  • 「サーバーが見つかりません」は案内所のストライキ?エラーさえもエンタメに変える思考法。

通信の目的地は「店名」ではなく、冷徹な「座標」である

ウェブサイトを見ようとしてURLを入力するとき、私たちは無意識に「google.com」や「yahoo.co.jp」という名前を目印にしています。しかし、堀本氏はこれを「人間が覚えやすいように付けた、単なるあだ名(ドメイン名)」に過ぎないと断言します。

実際、パケットという名の「大泉洋」がネットワークの大海原へ走り出すとき、彼が握らされている目的地のメモには、店名なんて書いてありません。そこに記されているのは「142.250.196.142」といった、統計や北緯を示すような数字の羅列。すなわち「座標」なのです。この数字の羅列を「IPアドレス」と呼びます。

コンピュータの世界では、この座標こそが唯一絶対の住所であり、本名です。例えるなら、「駅前のスタバ」と言われても場所が特定できませんが、「北緯35度◯分、東経139度◯分」と言われれば、ピンポイントでその場所を指し示せるのと同じ理屈です。

ここで一つ、面白い実験をご紹介しましょう。ブラウザの検索窓に、名前ではなく「142.250.196.142」という数字を直接打ち込んでみてください。するとどうでしょう。名前を一切出していないのに、見事にGoogleのトップページが表示されます。

「ほら本名を使ったらちゃんと飛べる。これ座標だから。すげえ、これ飲み会でやったら魔術を使ったやつだと思われますね(笑)」

このように、座標を直接入力することは、ネットの世界で「本名」を呼んで目的地に辿り着く行為に近いのです。世界中のデバイスが、この「数字の椅子取りゲーム」を繰り返しながら繋がっている。そう思うと、無機質な数字が急に血の通った住所に見えてきませんか?

「google.com」はただの看板? 座標を特定する闇の案内人「DNS」の暗躍

とはいえ、私たちが世界中のウェブサイトの座標(数字)をすべて暗記するのは不可能です。電話帳を一冊丸暗記するようなものですから、地獄ですよね。そこで人類が生み出したのが、「DNS(ドメイン・ネーム・システム)」という天才的な仕組みです。

私たちがブラウザに「google.com」というあだ名を入れた瞬間、裏側では私たちが気づかないほどのスピードで、こんなドラマが繰り広げられています。

まず、最初のメッセンジャー(大泉洋)が目的地へ向かう前に、「DNS」という名の案内所へ全速力で走り出します。そして案内所の窓口を叩き、「google.comっていうお店に行きたいんだけど、座標だとどこだい?」と尋ねるのです。するとDNSは巨大な電話帳をめくり、「ああ、あそこなら座標は142.250.196.142だよ」と教えてくれます。座標を手に入れた大泉洋は、そこで初めて本当の目的地に向かってリスタートを切ります。

私たちが一瞬でサイトを見ている裏で、実は「座標を問い合わせるための往復」という泥臭い作業が、毎回必ず行われているのです。正直、DNSはネット界の「生命線」と言っても過言ではありません。もしこの案内所がダウンしてしまったら、たとえ目的地のサーバーが元気一杯に動いていたとしても、私たちは「本名」を知ることができず、一歩も動けなくなってしまいます。

時々目にする「サーバーが見つかりません」という無機質なエラー。実はその多くは、目的地が消えたのではなく、この「案内所(DNS)」がストライキを起こしていたり、道が混んでいて返事が返ってこなかったりするだけだったりします。仕組みを知れば、あの忌々しいエラー画面さえも「案内所が今、必死に電話帳をめくってるんだな」と、少しだけ広い心で見守れるようになるかもしれません。

ルーターは「一歩先」だけを教える、駅のスタッフである

座標を手に入れた大泉洋ですが、彼自身は目的地までの全体図(世界地図)を持っていません。彼の手元にあるのは、たった一行の「数字の羅列」だけ。では、どうやって海を越え、国境を越えて、目的地のサーバーまで辿り着くのでしょうか。

ここで助けとなるのが、ネットワークの中継地点にいる「ルーター」です。

「ルーター(Router)ってつづりルート(Route)にer。やっぱり道案内する人なんすか。あれそうです」

堀本氏はルーターを「公共交通機関の駅にいるスタッフ」に例えます。大泉洋が駅(ルーター)に着くたびに、駅員さんに座標を見せます。「この座標に行きたいんだけど、次はどっち?」と。すると駅員さんは「札幌に行きたいのか。だったら、とりあえずあっちの特急に乗って、次の大きな駅でまた聞いてくれ」と、次の一歩だけを指示します。

驚くべきことに、インターネットの通信には「全体の司令塔」が存在しません。GoogleのCEOであっても、パケットがどの道を通って届くかを完全にコントロールすることはできないのです。パケットもルーターも、常に「一個先」のことしか考えていません。

「インターネットの通信はパケットは1個先とりあえず行こうって言ったら、またなんとなくこっちじゃない、じゃあそっち行くかって言って……なんだかんだ辿り着いてん」

この「局所的な判断の積み重ね」こそが、世界中の膨大なデータを滞りなく流通させる、技術者たちが辿り着いた美しき最適解です。目の前の駅員さんが「あっちが早いぞ」と言えば、そちらへ向かう。たとえその先が大渋滞していても、その場その場の「最適」を繋いでいくことで、結果として全体が動き続ける。司令塔がいなくても、個々のパケットと駅員(ルーター)が最小限の判断を繰り返すだけで世界が繋がるこの自律分散的な仕組みは、まさに工学の結晶と言えるでしょう。

まとめ:ネットワークという「行き当たりばったり」の連鎖

この記事をまとめると…

  • インターネットの真の住所はURLではなく、IPアドレスという数字の「座標」である。
  • 私たちが使うURLは、人間が覚えやすいように付けられた「あだ名」に過ぎない。
  • DNSサーバーは、あだ名をコンピュータ用の座標に翻訳してくれる「ネット界の電話帳」である。
  • ルーターは「道(Route)」を案内する者。パケットに次の一歩を教え続ける駅員の役割を果たす。
  • ネットワーク通信は全体図を持たず、一個先しか見ない「行き当たりばったり」の旅の連鎖で成立している。

「大泉洋は最終的な目的地点の座標だけを持って出発します。そこから先は行き当たりばったりです」。

私たちが今こうして画面を眺めている間も、何十億、何百億という「大泉洋(パケット)」たちが、案内所(DNS)で座標を聞き、駅員さん(ルーター)に道を聞きながら、必死に走り回っています。次にブラウザが「読み込み中」で止まったら、「案内所が混んでるのかな?」「駅員さんが面白い裏道を教えたのかな?」と想像してみてください。

仕組みを知れば、無機質な通信エラーさえも、旅の途中で起きる「おいしいハプニング」に見えてくるはずです。私たちがクリック一つで世界と繋がれるのは、そんな名もなき案内人たちが、今日もどこかで暗躍し続けてくれているからなのです。

配信元情報

番組名:ゆるコンピュータ科学ラジオ
タイトル:パケット(大泉洋)は座標を目指して移動する。店名だと迷う。【ネットワーク2】#17
配信日:2022-04-24

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