【著作権がない?】Photoshopで音楽を編集する時代。Adobe AIが暴く「声」の無法地帯

AI・テクノロジー

音楽を「Photoshopのように修正できる」——クリエイターツール大手Adobeが、新サービス「Project Music Gen AI Control」を発表し、音楽生成AIの編集レベルを劇的に引き上げました。

一方、AIによる音声は人間の声と聞き分けがつかないほどリアルに進化し、バイデン大統領の偽スピーチ事件が示すように、悪用リスクも顕在化しています。本記事では、最先端の技術と、「声に著作権はない」という衝撃的な事実が引き起こす、音のAIが抱える倫理的・法的な課題の核心に迫ります。


🛠️ Adobeが挑む!音楽を「Photoshopのように」編集する新技術

Adobeが発表した「Project Music Gen AI Control」は、テキストのプロンプト(AIへの指示)から音楽を生成できる生成AIです。イメージとしては、「音声版のチャットGPTのようなイメージが分かりやすいと思います」。

このAdobeのサービスが持つ最大の特徴は、生成後の音楽を修正できる機能です。従来の生成AIは、一度回答を生成したら再指示を出すしか修正方法がありませんでしたが、この新サービスでは、AIが生成した音楽に対して、人間が「ここはもう少しテンポを速くしましょう」や「もっとスローにしましょう」といった修正指示を自由に出すことができます。

Adobeは、「Photoshop Adobeが展開している画像のサービスというかソフトですねPhotoshopのようにピクセルレベルでクリエイターが微調整できる」とコメントしています。これは、AIを単なる「生成ツール」としてではなく、「編集ツール」として深く活用できる未来を示唆しています。


🎧 Suno AIから声フォントまで:「音の生成AI」主要プレイヤー

音楽生成AI音声生成AI(TTS: Text To Speech)の分野は急速に進化しており、そのクオリティは人間と区別がつかないレベルに近づいています。

音楽生成AIの広がり

  • Soundraw(サウンドロー): このポッドキャスト「AIロボシンク」の冒頭BGMにも使われているサービスです。
  • Suno AI(数のAI): 歌詞付きで楽曲を生成できるのが大きな特徴です。漫画『ONE PIECE』の作者である尾田栄一郎氏が主題歌をSuno AIで作成したことでも話題になりました。Suno AIは無料で利用でき、他のユーザーの曲を聴けるプラットフォーム機能も持っています。

驚異的な進化を遂げた音声生成AI

音声生成AIは、「妙に人間っぽいリアルさがあるような音声出力機能になります」と表現されるほど進化しています。

  • Eleven Labo(イレブンラボ): 自分の声を学習させて、その声で音声を生成できる機能を持っています。「ちなみにこのEleven Laboで面白いのが、自分の声を学習させて、自分の声で音声を作ることもできるんですね」。これは語学学習や頭の整理といった目的で活用されています。
  • 声フォント: 日本のサービスで、ひろゆきさん(2ちゃんねる創業者)の声を生成できることで知られています。

OpenAIのChatGPTもTTSの技術を使用しており、応答速度が人間並みに改善され、感情を込めた朗読やリアルタイムの同時通訳が可能になるなど、その対話機能は目覚ましい強化を見せています。


⚖️ 決定的な問題点:「声の著作権がない」現状と悪用リスク

音楽生成AI音声生成AIの進化に伴い、倫理的・法的な問題も顕在化しています。

「AIゆり子」の感情を持つリアルな声を生み出すTTS技術の最前線

悪用リスクの顕在化

最も懸念されるのが、AIが悪用されるケースです。アメリカのバイデン大統領の偽スピーチは、本人の声をAIに学習させ、本人が話していない偽の音声をインターネット上で流布させた事例として問題になりました。個人レベルでも、他人の声を学習させてオレオレ詐欺のような電話をかけるといった悪用のリスクがあります。

声の著作権問題と法整備の遅れ

もう一つの大きな問題は、声自体には現状、著作権が認められていないという点です。「これですね結構驚く方も多いんですけど 声自体には著作権はないんですよね」。

海外の法律専門家の見解によると、声自体に著作権がないことで、「著作権侵害に対する権利行使が難しい」という状況が生まれているんです。つまり、悪意のある人が有名なミュージシャンの声を学習させて、勝手に新しい曲を作る、といった使い方ができてしまうリスクがあるわけですね。

話し手は、「生成AIの進化の速さに現実の法整備が 追いついてないのかなという印象はありますよね」と述べており、この倫理的・法的な課題に対し、国内外で法整備が急ピッチで進められています。


まとめ

  • Adobeは、Photoshopのように生成後の音楽をクリエイターが自由に修正できる音楽生成AI「Project Music Gen AI Control」を発表しました。
  • 音楽生成AIには歌詞付きの楽曲を生成できるSuno AIなどがあり、音声生成AI(TTS)もEleven Laboや声フォントなどにより高い再現性を実現しています。
  • 音声生成AIは、バイデン大統領の偽スピーチのような悪用リスクがすでに顕在化しています。
  • 声自体には現状著作権が認められていないため、生成AIの進化に法整備が追いついていないという問題が指摘されています。

配信元情報

番組名:耳で学ぶAIロボシンク
タイトル:Adobeが音楽生成AIの新サービスを発表!「音」の生成AIについて語る回🎧
配信日:2024-03-05

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